Reading 26A (12-14)

12 両親は私が7才の時に離婚したので、父とはあまり親しい関係ではないけれど、少なくても半年に2、3回は電話で話すようにしている。先日、結婚することになったと言ったら、すごく喜んでくれたが、父を結婚式に呼んだ方がいいのか、呼ばない方がいいのか今悩んでいる。父親としては、娘の結婚式には出席 したいのではないかと思うが、母はどう思うだろうか。父が再婚してからは、母はほとんど父と連絡をとっていない様子だ。母親に相談するのも、なんとなく母に悪いような気がして、どうしたらいいかよくわからない。 (MP3)

13 私は子どもの時に道で財布を拾ったことがあります。中を見たら、お金は20円ぐらいしか入ってなくて、古い写真が一枚入っていただけでした。別に財布も高そうな物じゃなかったから、どうしようかなと思いましたが、帰り道に交番があったので、持って行っておまわりさんに渡しておきました。

  それから十日ほど過ぎてから、その交番から、財布を落とした人が来てお礼をおいていったから取りにくるようにという連絡がありました。行ってみると、白い封筒が置いてあって、その中に手紙と五千円札が入っていました。もう三十年ぐらい前のことですから、その時の五千円と言うと子どもにはずいぶん価値があっ たので、びっくりしてしまいました。お金といっしょに入っていた手紙によると、写真はその人の亡くなった息子さんで、戦争で家が焼けてしまったので、残っている写真はその一枚だけだったということでした。私はあんまりいいことをしない人間ですけど、その時は本当に届けてよかったと思いました。 (MP3)

14 先日洗った皿やコップを戸棚にしまっていたところに、大きな地震が来た。戸棚に入っていた物が次から次へ頭の上に落ちてきて、床の上で割れてしまった。窓の横にあった植木もランプも倒れた。グラグラと揺れていたのは、20秒ぐらいだったと思う。もっと短かったかもしれない。揺れが止まってから、外に出よう としたが、ドアは押しても引いても開かなかった。フレームが大きく曲がってしまったようだ。窓から出られそうだったので、手足を切らないように割れたガラスに気をつけて庭に下りた。電信柱は倒れそうになっているし、薬屋の看板は落ちそうになっている。どうしていいか分からずに、しばらく立っていたら、近所 の人がこわごわ外に出てきた。泣きそうな顔をしている人もいた。 (MP3)

  大 きな地震は、その前後に何回も余震があることが多い。こんなところに立っていたら、また揺れた時あぶないだろうから、どこかへ避難しなくてはいけないと思うが、どこへ行ったらいいのだろうか。大きな地震が来るという警告はもう何年も前から出ており、そのための訓練をしたり、地震情報のパンフレットを読んだ りして準備していたつもりだったが、頭の中には、まさか、という気持ちがあったことは事実だろう。 (MP3)

  一 つ感動したのは、この地震のあと、ほかの人のために水を運んであげたり、なくなったものをさがしてあげたりして、みんなが困っている人を助けようとしていたことだ。外国ではこのような災害時に犯罪が増えるということを聞いたことがあるが、今回は本当に日本人はヒューマニストだと思ったし、自分が日本人であ ることを誇りに思うことができた。 (MP3)